2014年6月29日日曜日

「酸性食品・アルカリ性食品」再考 その3


4. 食物中ミネラル量と尿中酸排出量の関係

 RemerManzは、1990年代中頃に、食物中のミネラル量と尿に排出される酸の量との関係について研究を行いました。彼らは、次のようにしてこの問題にアプローチしました。
・尿中の各種陰陽イオンの量を腎臓からの酸排出量(NAE)と関係づける。
・体内に取り込まれるミネラルの量と尿に排出されるミネラルイオンの量が同じとみなす。即ち、ミネラル代謝の動的平衡を仮定する。
・食物中の各ミネラルについて、腸管吸収率を考慮して体内に取り込まれる量を知る。

初めに、説明の参考にした文献を掲げておきます。文献1)と2)には、彼らの考え方がまとめられています。
1) Remer, T. : Influence of nutrition on acid-base balance―metabolic aspects, Eur. J. Nutr. , 40, 214-220 (2001)
2) Remer, T. : Influence of diet on acid-base balance, Semin. Dial., 13, 221-226 (2000)
3) Remer, T., and Manz, F. : Potential renal acid load of foods and its influence on urine pH, J.  Am. Diet. Assoc., 95, 791-797 (1995)
4) Remer, T., and Manz, F. : Estimation of the renal net acid excretion by adults consuming diets containing variable amounts of protein, Am. J. Clin. Nutr., 59, l356-1361 (1994)
5) Remer, T., Dimitriou, T., and Manz, F. : Dietary potential renal acid load and renal net acid excretion in healthy, free-living children and adolescents, Am. J. Clin. Nutr., 77, 1255-1260 (2003)

 まず、尿にはどのようなイオンがどれだけ含まれているかを見てみましょう。図1に示すのは、高たんぱく質食を摂る成人健常者が一日に排泄する尿のイオン組成です(文献3)。尿には、無機陽イオンとしてNa+ K+ Ca2+およびMg2+ 無機陰イオンとしてCl SO42および無機リン酸イオン(Pi HPO42H2PO4)が含まれます。 陰イオンとしては有機酸(organic acid OA)HCO3も存在します。 電気的中性の原理によって尿の陽イオンの電荷の総量と陰イオンの電荷の総量は等しいので、陽イオンの当量の合計と陰イオンの当量の合計は等しくなっています。尿がつくられる過程で、糸球体濾過液中の陰イオンの電荷が過剰になるようなときには、腎臓からHが排泄されて、尿中陽イオンの電荷の総計と陰イオンの電荷の総計が等しくなります。このとき H+を受け取って尿へ排出する物質は TANH4です。




TAのうち主要なものはリン酸一水素イオン(HPO42)です。 1の陽イオンのグラフに、 陰イオンであるリン酸イオンや有機酸を含むTAが入るのは妙ですが、 次のように考えると納得できます。 陽イオンのグラフで表された、リン酸イオンと有機酸の量は、 尿のpHではなくpH 7.4におけるイオン当量として表わすので、 滴定酸として測定されるイオン当量分だけ大きい値になります。したがって、この増加分が陽イオンのグラフでTAに入ってくるので、両者が相殺されることになります。 尿中のNH4の由来は複雑で、最近は次のように説明されています。近位尿細管細胞でグルタミンからつくられたNH4 尿細管腔に排出された後、ヘンレループの太い上行脚で再吸収されて間質に入ります。 そして、NH4と平衡状態で存在するNH3が集合管細胞のガスチャネルを介して尿中に拡散します。 このNH3は尿細管や集合管へ分泌されたH+と反応してNH4になり尿中に排泄されます。

図1の陰イオンのグラフから、 HCO3以外の陰イオンの当量にOAの当量を加えた値(Cl+ Pi1.8+ SO42+ OA)から無機金属陽イオンの当量(Na+ + K+ + Ca2+ + Mg2+)を差し引くと、 腎臓からの正味の酸排泄量NAE (NH4 + TA HCO3)と等しいという関係が成り立つことが分かります。


Cl+ Pi1.8+ SO42+ OA­-(Na+ + K+ + Ca2+ + Mg2+)= NH4 + TA HCO3

ここで、 Pi1.8という見慣れない表現をしましたが、Pi 無機リン酸イオンを表す記号で、 Pi1.8はリン酸イオンの価数が形式的に-1.8であることを示します。pH 7.4においてH2PO480%が解離してHPO42になるので、このように表します。



 ここまでの話は尿中の物質の組成についてです。次に、これが食物中のミネラルの量とどのように関係づけられるかを見ていきましょう。RemerManzは、食事性の酸塩基負荷を予測する指標であるPRAL (potential renal acid load 潜在的腎臓酸負荷)を考案しました(文献3) PRALの値は、食物のミネラルの組成と各ミネラル(ただしSの場合はたんぱく質)の消化吸収率を考慮して、各ミネラル量をmEqで表し(SO4 + P + Cl)(K + Ca + Mg + Na)で計算されます。 すなわち、PRAL値は体内に吸収された食物ミネラル由来の無機非金属陰イオンの当量と無機金属陽イオンの当量の差です。そして、陰イオンの過剰分が腎臓への食事性の酸負荷となります。計算には、ミネラルとたんぱく質の消化吸収率の表1の値が使われます(文献3 尿中と食物中のミネラルの量を関係づけるためには、一つの仮定が要ります。それは、ミネラルの代謝で動的平衡が成り立っているということです。すなわち、食事から体内に吸収された各ミネラル元素が、そっくり尿中に排泄されることになります。その結果、尿に排泄される各ミネラルのイオンの当量は、食事から体内に吸収されたイオンの当量と同じになります。 尿のイオン組成のグラフ(図1)で眺めると、非金属陰イオンの総計と金属陽イオンの総計の差がPRALの値と等しくなるわけです。食事灰化物仮説の酸度を修正して、PRALが計算されていることが理解できたと思います。

PRALは食品の分析値から(SO4 + P + Cl)(K + Ca + Mg + Na)として求めることができるので、これにOA量を加えれば、前述のように、NAEの推定値を得ることができます。 OAの尿中排泄量は、体表面積を用いる計算式 (表1)に従って、身体計測から求めるのが標準的です。簡便のため、体重(kg)× 0.66 によって求めることもあります。

RemerManz PRALNAEの関係を検証するため、6人の健常な成人に対して食事介入研究を行いました。たんぱく質量が異なる4種類の食事を5日間摂取させ、 最後の2日間 の尿の分析をしました。 それぞれの食事内容は、 低たんぱく食、 適量たんぱく質食、 適量たんぱく質食にメチオニンを付加した食事および高たんぱく質食であり、 カロリーがほとんど同じになるように設定されました。
上で論じたように、 尿の無機陰イオンの総量から無機陽イオンの総量を引いた値(実測値)OA(実測値)を加えた値([Cl+ Pi1.8+ SO42+ OA][Na+ + K+ + Ca2+ + Mg2+])、 NAEの推測値(PRAL[ 品中のミネラルからの計算値]OA[身体計測からの推測値])およびNAEの実測値の三つの値は、理論的には同じになるはずです。 この点を検討した結果は表2に示すようになりました(文献4)。 低たんぱく質食を除く食事間で、上記の三つの値が近似していることがわかります。このようにして、NAE PRAL OAの関係が成り立つことが確認されました。 さらに、 たんぱく質摂取量が多いほど尿のpH 低くなることも観察されました。



RemerManz 主要な食品のPRAL値を計算して報告しています(文献3)。 果物や野菜は、 その値が-3 mEq/100 gと負になるので、 在的酸負荷を減少させます。 一方、 や魚、 鶏肉、 チー ズ、 穀物などは7 mEq/100 g以上の値で、 潜在的酸負荷を増加させます。その他の食品についての詳細は文献3を見て下さい。

PRALの計算には、 便宜ClNaを考慮しない次の式が、一般的に用いられます(文献5)。

PRAL(mEq/) = 0.49×たん ぱく質(g/)0.037×P(mg/)
0.021×K(mg/)0.013×Ca(mg/)0.026×Mg(mg/)

ClNaを考慮しないのは、食品交換表においてClに関する十分なデータが記載されていないことに加え、 尿中に排泄されるNaClの当量比がほぼ1に等しいという実験結果があるためとされています。しかし、この式の使用に当たっては、NaClの当量比を1とみなすためにPRAL値が不正確になる可能性があることに留意すべきでしょう。

今回の食物中ミネラル量と尿中酸排出量の関係についての議論では、各ミネラルの一般的な腸管吸収率を用いており、また、ミネラルの代謝の動的平衡を仮定しています。そのため、個々人のPRAL値は実際の値と厳密には一致しないかも知れません。しかし上記の食事介入研究で、NAEの推測値が実測値とほぼ一致し、低たんぱく食と高たんぱく食との比較で予想される結果が得られたので、科学的根拠があるものと考えられます。次回は、ミネラルの代謝の詳細について説明しようと思います。
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2014年6月22日日曜日

「酸性食品・アルカリ性食品」再考 その2


3.食事摂取による体液の酸塩基平衡への影響

 食事灰化物仮説では、食物のミネラルの酸化と代謝による「燃焼」を同等と考えましたが、これは正しくありません。食物を燃焼したときには、NaKCaおよびMgのような金属元素の無水酸化物ができ、これが水と反応するとNaOHKOHCa(OH)2およびMg(OH)2が生成します。例えば、Naの無水酸化物は酸化ナトリウム(NaO)で、水と反応すると次の式のようにNaOHができます。
  NaO + H2 2NaOH
また、 ClSおよびPのような非金属元素からも無水酸化物ができて、水との反応でHCl H2SO4およびH3PO4が生成します。例えば、Sの無水酸化物は無水三酸化硫黄(SO3)で、水と反応すると次の式のようにH2SO4ができます。
SO3 + H2 H2SO4
食事灰化物仮説では、食物の燃焼によってできる酸やアルカリによって、食物の酸度・アルカリ度が決まると考えます。この仮説が提唱された20世紀初め頃には、酸は水に溶けてHを出す物質、アルカリは水に溶けてOHを出す物質を指したので、PS Clなどの陰イオンになるものは体内で酸性物質に、NaKCaMgなどの陽イオンになるものは体内でアルカリ性物質に変化すると考えることに抵抗がなかったようです。

しかし、これらのミネラルの体内での代謝は、上記のような無機化学反応とは違います。たんぱく質中の含流アミノ酸のSの代謝によってH2SO4ができる点は、燃焼による灰化の場合と同じですが、他のミネラルの代謝は全く異なります。Pはリンたんぱく質、リン脂質、核酸などにリン酸のモノエステルないしジエステルの形で存在していたものが、加水分解でリン酸として遊離してきます。その他のミネラルの場合は、食物に塩として存在していたものが、イオンの形で腸管から吸収されます。しかし、体液中に取り込まれた陰イオンと陽イオンの間でイオン当量に差が生じると、体液のpH(酸塩基平衡と言うのがより適切ですが)に影響が現れます。何故でしょうか。

  この疑問に対する答えを、現在使われるBrønsted-Lowryの酸と塩基の定義(Hを出す物質を酸、Hを受け取る物質を塩基とする)に基づいて考えてみましょう。この定義によと、NaOHを生成させたり、ClHを生成させたりすることはないので、 ミネラルのイオン自身は溶液のpHに影響を与えません。しかし、消化管から吸収されたミネラルに由来する陽イオンの当量と陰イオンの当量に差があると、体液のイオンバランスが変化してpHが変動します。その理由は、電気的中性の原理により溶液の陽イオンの電荷の総量と陰イオンの電荷の総量は等しくならねばならないためです。体液の成分のうち量が変化するのは、重炭酸イオン(HCO3)です。陰イオンが過剰のときは塩基として作用するHCO3が減って体液への酸負荷が増し、 陽イオンが過剰のときはHCO3が増えて酸負荷が減ります。このようにして食品中のミネラルの組成が体液の酸塩基の平衡に影響することになります。そして、このように発生した体液の酸塩基負荷を解消するのが腎臓の役割です。酸負荷時には、尿中に過剰な陰イオンとHを、塩基負荷に対しては過剰な陽イオンとHCO3を排出して対応します。我われの体は体液の酸塩基平衡を維持する機構によって、食物から体液中に取り込まれたミネラルに由来する陰陽イオンの量に不均衡が起きても、これを解消することができるのです。したがって、1990年代に「酸性食品・アルカリ性食品」を否定する根拠として、生体の強力な緩衝機構のため食事によって体液のpHが変動しないことが強調されましたが、pHが変動しないように腎臓が酸を排出してくれているのが現実の姿です。以前なされた議論は本末転倒であったと言うべきでしょう。

これから先の説明には、腎臓による尿への酸の排出の生理学を理解しておく必要があります。腎臓が排出する酸としては、H2PO4、クレアチニン、尿酸、 馬尿酸などの滴定酸(titrable acid TA)とNH4があります。このうち重要なのがH2PO4NH4です。TAの量は、尿を正常血漿や糸球体濾過液のpHである7.4まで滴定するのに要するアルカリの当量で表されます。生理学の教科書に書かれているように、腎臓から尿への正味の酸排泄量(net acid excretionNAE)は、これら腎臓から排出された酸の当量から尿に排泄されたHCO3(塩基として作用する)の当量を差し引いて、次式で表されます。

NAE  NH4  TA  HCO3

ところで、 酸塩基平衡の維持のため尿に排泄される酸の量(NAE)と食物中のミネラル量とが、どのように関係づけられるのでしょうか。 ドイツのRemerManzが、この関係を定式化するなかでPRALを定義しました。1990年代中頃のことです。


今回は、食物のミネラルの酸化の実態とミネラルの代謝の様子を説明しました。両者の間で実際に起きていることは違いますが、前回説明したように、食物の酸度・アルカリ度を食品に由来する陽イオン(Na++ K+ + Ca2+ + Mg2+)と陰イオン (Cl+ HPO42 + SO42) のイオン当量の差で求めようとする発想は同じです。次回は、酸塩基平衡の維持のため尿に排泄される酸の量(NAE)と食物中のミネラル量とがどのように関係づけられるかを考えます。いよいよ佳境に入ります。
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2014年6月16日月曜日

「酸性食品・アルカリ性食品」再考 その1


私は大学の医学部で、長年、生化学の教育と研究に携わりました。最後に勤務した和歌山県立医科大学を定年退職後、さらに名古屋女子大学で6年、管理栄養士を目指す学生を対象にした教育も経験しました。このブログでは、栄養と関連した教育の経験をもとに記事を書こうと思います。まず「酸性食品・アルカリ性食品」を取り上げます。
 その理由は、近年、食の専門家を目指す学生が、「酸性食品・アルカリ性食品」について学ぶ機会がないからです。実際、この問題を扱った管理栄養士養成用の教科書はほとんどありません。しかし、肉をよく食べる人の尿は酸性に傾き、果物や野菜を多くとる人の尿はpHが高くなることは、科学的に根拠のある事実です。この理屈をしっかり勉強したい方は是非このブログを読んでみてください。食事のミネラル成分と尿中への酸の排出が密接に関係することを理解できるはずです。

1.「酸性食品・アルカリ性食品」と私

 私が管理栄養士養成校で担当した科目の一つに「生化学実験」があります。6年前(平成20年)に初めて行った授業では、前任者のテキストを用いました。その中に尿のpH 測定の実験があり、多量の果実や野菜の摂取時にはアルカリ性尿、また、多量に肉食したときには酸性尿となることが書かれていました。肉食の場合には、含硫アミノ酸の代謝の結果、硫酸ができるので体内で酸が生成することは明らかです。しかし、果物や野菜の場合は、クエン酸ナトリウムやクエン酸カリウムが体内に取り込まれる結果、血液にアルカリ(正しくは塩基と言うべきですが)が負荷されます。その訳は、ナトリウムだからアルカリだと言ってしまえばそれまでですが、血液中に取り込まれるはナトリウムイオンなので、なぜアルカリなのか不思議です。私は、若かりし頃にこのような疑問を持ったことを思い出します。医学の勉強では「酸性食品・アルカリ性食品」は出てこないので深く考えず、打っちゃっていました。しかし、管理栄養士養成校での「生化学実験」の授業をするようになってから、インターネットで調べて、食事性酸塩基負荷の指標PRALpotential renal acid load, 潜在的腎臓酸負荷)を論じたRemerManzの研究があることを知りました。それを勉強してみて、彼らの主張には科学的根拠があると思いました。そして、平成23年度のゼミ生と研究論文のいくつかを輪読しました。ところで、栄養士や管理栄養士の方にはPRALと言う用語がほとんど知られていないようですが、この実情は少々寂しい感じがします。
 このような事態を踏まえて、「『酸性食品』・『アルカリ性食品』の栄養学的意義についての再考」と題する小論を名古屋女子大学紀要(59号(家政・自然編)2939頁)で平成25年に発表しました。この小論は和歌山県立医科大学の化学の福島和明先生と名古屋女子大学の基礎栄養学の古市幸生先生との共著です。このブログでは、その内容をダイジェストしながら、「酸性食品・アルカリ性食品」の今昔物語を語ってみたいと思います。

2.「酸性食品・アルカリ性食品」とは

 「酸性食品・アルカリ性食品」の考え方19世紀末に始まり、食品を燃焼して生じる灰を水に溶かしたとき酸性を示すか、アルカリ性を示すかによって、食品を分類しました。そして、両者をバランスよく摂取することが、体液のpHバランスを保つのに望ましいと考えられました。酸度の測定は、食物を燃焼して灰化したものをアルカリ溶液で滴定することによって行われましたが、燃焼の過程でミネラルの酸化物が失われることがあるので、20世紀初頭に、食物自体に含まれるミネラルの量に注目したほうがよいと考えられるようになりました。そして、ミネラルの量を測定し,それから生成される酸・アルカリの当量を計算しました。得られた値は、ミネラルに由来する陰イオン・陽イオンのイオン当量に相当します。したがって、食物の酸度を食品に由来する陰イオン (Cl+ HPO42 + SO42陽イオン(Na+ + K+ + Ca2+ + Mg2+)とのイオン当量の差で求めることができます。体内でのミネラルの代謝によって、食物の燃焼による灰化の場合と同じ量の酸またはアルカリが産生されて、体液のpHが影響を受けると考えるので、この見解は食事灰化物仮説(dietary ash hypothesis)と呼ばれました。
この仮説はおおざっぱなものであったため1980年代になると、国内外で批判を受けるようになりました。 わが国では1980年代後半に,「アルカリ性食品・酸性食品の誤り」という一般向けの書物が世に出ました。 批判の一つは, 上記の仮説では、ミネラルの腸管吸収率が100%であると仮定していますが、これは正しくありません。各ミネラルの吸収率は、後で示しますが、さまざまです。また, 生体の強力な緩衝機構のため食事によって体液のpHが変動しないことを強調しています。
さらに, ミネラルのイオンが体液のpHH+を出したり受け取ったりすることはないのに, 陰陽イオンの量に差があるとどうして酸塩基平衡に影響が現れるのでしょうか。この点について、私は学生時代に疑問を持った覚えがあります。この点も食事灰化物仮説を受け入れにくくしたと思われます。

食事灰化物仮説では、ミネラルの実際の燃焼と代謝による「燃焼」を同等と考えていますが、これは飛躍のしすぎです。この点にも目を向けながら、次回は、食事摂取と体液の酸塩基平衡についてお話します。              
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